Agent Legal Frameworkエージェントとの業務委託契約に関する法的留意点と当社の対応方針
契約形態と業務内容について
当社は、エージェントとの間に雇用契約ではなく、業務委託契約を締結しております。エージェントには、当社が営む宅地建物取引業(宅地建物の売買および仲介)における営業活動を遂行していただき、その業務遂行に対する対価として、業務委託報酬を支払っています。
以下では、このような契約形態において当社が特に留意している法的観点や運用実務についてご説明いたします。
宅建業法の観点からの留意点
宅地建物取引業法第13条では、いわゆる「名義貸し」が禁止されています。当社では、名義貸しに該当しないよう、以下のような観点から運用体制を整備しています。
(1)エージェントの「責任」に関する対応
エージェントは当社の指揮監督のもと業務を行っており、雇用契約ではなく業務委託契約に基づき業務を遂行しています。具体的には、エージェントを従業者名簿に登録し(宅建業法第48条第3項、業務委託契約書第2条第2項)、業務にあたっては当社の従業者証明書を携帯させています(同法第48条第1項)。
また、エージェントには業務報告の義務があり(契約書第2条第2項)、当社の提供するマニュアルや研修を通じて、業務品質や法令遵守の向上に努めています(契約書第5条、第16条)。
さらに、契約の最終的な締結に関しては当社の意思決定を要し、エージェントが単独で契約行為を行うことはできません。業務委託契約においても、エージェントによる代理行為や社印の外部持ち出しは禁止されています(契約書第9条)。
(2)エージェントの「計算」に関する対応
顧客からの仲介手数料や売買代金は、すべて当社の銀行口座に入金され、当社の売上として計上されます。エージェントが直接金銭を受領することはありません。
また、名刺作成費用や宅地建物取引士証の更新費用など、エージェントの業務遂行に要する基本的な費用は、原則として当社が負担しております(契約書第4条)。
当社が支払う報酬は、媒介報酬の最大80%まで可能ですが、これはDX(デジタルトランスフォーメーション)によるバックオフィスの効率化により実現しています。
専任の宅地建物取引士に関する登録と要件
宅地建物取引士としての資格を有するエージェントを、当社の専任宅建士として登録する場合があります。その際には、「常勤性」および「専従性」という要件を満たしているかを厳密に確認しております。
(1)常勤性
常勤性を担保するため、通常の勤務時間帯に勤務できる旨の申告があった者のみを専任の宅建士として登録しています(契約書第2条第5項)。また、実態として勤務時間が不十分であることが判明した場合には、当該エージェントを専任宅建士の登録から除外いたします。
(2)専従性
他の宅地建物取引業者での勤務を禁止し、兼業を行わない旨の申告があった者のみを登録対象としています(契約書第2条第5項、第10条)。
労働法上の位置付け
当社はエージェントに対し一定の指揮監督を行っておりますが、雇用契約を締結していないため、エージェントは「労働者」には該当しません。その整理の根拠として、以下の点を挙げています。
- エージェントが自ら顧客を発掘し、成約まで自律的に業務を遂行している点
- 当社が具体的業務の実施方法や時間・場所について拘束していない点
- 報酬が時間給ではなく、成果報酬型である点
このような体制のもと、エージェントは独立した事業者としての立場を維持しています。
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